全世界の株式に投資する投資信託は世の中にいくつもあります。
今回は、世界に投資する投資信託の中でも「ベイリーギフォード世界長期成長株ファンド(愛称:ロイヤルマイル)」について分析していきます。
他の投資信託についても解説していますので気になる方はそちらもチェックしてみて下さい。


ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドはどんな投資信託?
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドのコンセプト
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンド(ロイヤル・マイル)は世界の成長株式に長期的に投資する運用戦略です。
ロイヤルマイルではこの運用戦略をロングターム・グローバル・グロース戦略(LTGG戦略)と呼んでいます。
Long Term = 長期的な視野
Global = 世界の株式が投資対象
Growth = 成長性に期待
短期的な株価や業績の変動に惑わされずに長期で投資機会を捉えます。
新興国を含む世界の株式から魅力的な銘柄を発掘します。
5年、10年の長期で継続可能な成長力を持つ企業に投資します。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドを運用しているのは誰??
LTGG運用戦略は実行するのが大変ですが魅力的な運用戦略ですね。ロイヤルマイルの委託会社は三菱UFJ国際投信株式会社ですが、実は海外の運用会社から助言を受けています。
実質的な運用を行うのは「ベイリー・ギフォード・インベストメント・マネジメン
ト(ヨーロッパ)リミテッド」です。
ベイリー・ギフォード社は1908年にスコットランドのエディンバラで創業して以来、100年以上にわたり「長期投資の哲学」を実行してきた運用会社です。

ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドの手数料
ロイヤルマイルの手数料についても確認しておきましょう。
同じく世界の株式に投資する「キャピタル世界株式ファンド」と「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね」と比較してみます。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンド(ロイヤルマイル) | キャピタル世界株式ファンド | 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね | |
購入時手数料 | 3.3% | 3.3% | 2.2% |
信託報酬 | 年1.6445% | 年1.701% | 年率0.99% |
信託財産留保額 | なし | なし | なし |
ロイヤルマイルの購入時手数料は3.3%、信託報酬は年1.6445%です。
おおぶねと比べるとやや高いですが、キャピタル世界株式ファンドとは同程度の水準です。
ロイヤルマイルの手数料はとくに高い訳ではないですが、安い訳でもなく一般的な水準となっています。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドの評判は?
続いてロイヤルマイルの評判についても確認しておきましょう。
ロイヤルマイルはモーニングスター社の「FUND OF THE YEAR2020」国際株式型(グローバル)部門において最優秀ファンド賞を受賞しています。

参照:月次レポート
著名な賞を受賞しており世間の評判は高いと言えます。ただ再三申し上げていますが、受賞歴などの評判だけで投資判断をしてはいけません。
きちんと中身を分析して投資すべきか否か考えていきましょう。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドの投資先10銘柄
それでは、ロイヤルマイルの具体的な投資先を確認していきましょう。
(2022年5月31日時点)
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 比率 |
TESLA INC | アメリカ | 一般消費財・サービス | 6.6% |
AMAZON.COM INC | アメリカ | 一般消費財・サービス | 6.5% |
MEITUAN-CLASS B | 中国 | 一般消費財・サービス | 5.9% |
NVIDIA CORP | アメリカ | 情報技術 | 5.5% |
ASML HOLDING NV | オランダ | 情報技術 | 5.5% |
TENCENT HOLDINGS LTD | 中国 | コミュニケーション・サービス | 5.3% |
KERING | フランス | 一般消費財・サービス | 4.8% |
ILLUMINA INC | アメリカ | ヘルスケア | 4.5% |
MODERNA INC | アメリカ | ヘルスケア | 4.2% |
BIONTECH SE-ADR | ドイツ | ヘルスケア | 3.1% |
アメリカのハイテク株が中心ですね。
1位のテスラ、2位のアマゾン、4位のエヌビディア、5位のASMLホールディングなどはナスダックの構成銘柄でも上位に入る超大企業です。
インデックスにも大きく影響するような見慣れた大企業が並んでおり、独創性が少なく面白味が感じられない銘柄となっています。
8位と9位にランクインしているのはイルミナとモデルナですが、これらはコロナウィルスの蔓延に伴い集中投資を開始したと思われます。
これは果たして運用戦略で掲げる長期投資に一致する銘柄選定なのでしょうか。少し怪しい気もしてしまいます。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドの運用成績は良い?悪い?
設定来の運用成績とは
こういった銘柄に投資してきた結果、ロイヤルマイルの運用成績はどうなっているでしょうか。
設定来の運用成績はこちらです。

参照:月次レポート
過去6ヶ月 | 過去1年 | 過去3年 | 設定来 | |
リターン | -39.1% | -30.9% | 66.4% | 65.9% |
設定日は2019年1月31日ですので、年利に直すと約18%となります。
利回りだけ見るときちんとプラスが出ていますが、価格が大きく上下しているのが気になりますね。
また、ロイヤルマイルはインデックスを上回る運用成績を目指すアクティブ型の投資信託ですので、インデックスと比較してみましょう。
マーケットとの比較
全世界株式の代表的な株価指数はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスですのでこちらと比較してみます。

過去3年間で見ると、一時期は大きくインデックスを引き離し上昇しましたが、2021年末ごろから急激に下落しインデックスと同程度の成績となっています。
2020年の運用成績は確かに素晴らしかったのでアワードでも最優秀ファンド賞を受賞していますが、1年~2年という短期間の成績が評価されただけですので要注意です。
価格の上下が非常に大きくとても高いリスクを取っているにもかかわらず、現状の成績はインデックスと同程度で直近の急落も恐ろしいですね。投資するにはなかなか勇気のいるファンドとなっています。
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンドの今後の見通しは
それでは、ロイヤルマイルの将来の動きはどうなっていくでしょうか。
ロイヤルマイルの今後の見通しとしては厳しい状況が続くと思われます。
なぜなら、ロイヤルマイルは成長株に主に投資していきますが、最大の市場であるアメリカは今後金利が上がっていくと予想されています。
金利が上がると株価は下がりやすく、活発な経済活動もしにくくなるので成長株にとっては大きな向かい風です。
始めるタイミングとして今は全くおすすめできないです。
まとめ
ベイリーギフォード世界長期成長株ファンド(ロイヤルマイル)についてまとめます。
- 全世界の成長株に投資する
- 100年以上の歴史を持つベイリー・ギフォード社が運用する
- 長期で成長し続ける企業に投資する
- 手数料水準は一般的
- 実際の投資先を見るとインデックス上位と被る銘柄も多い
- 面白味の少ないポートフォリオとなっている
- 値動きが大きくとてもリスクが高い割にリターンは芳しくない
- 今後の見通しも厳しいことが予想される
値動きが大きくとてもリスクが高い投資信託となっています。良い時は良いかもしれませんが、調子が悪い時の急落が怖いですね。
資産運用では短期間で大儲けを狙うよりも安定的にコツコツと増やしていくことが重要だと思います。
私が分析して個人的におすすめできる運用方法は下記でまとめています。
リスクを抑えて安定運用していく方法もご紹介していますので、投資先をお探しの方は下の記事をぜひ参考にしてみて下さい。